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環境・技術、未来への取り組み

環境・技術、未来への取り組み

カーボンニュートラルに関する取り組み

内航海運におけるカーボンニュートラルの推進に取り組みます

政府の「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」という宣言に基づき、内航海運においてもカーボンニュートラル推進の方向性が示されました。

これに基づき、当社もこれまで以上にカーボンニュートラル推進に向けて強化していく所存です。そこで当社のこれまでの取り組みと今後の取り組みについて説明させていただきます。

2021年8月、国土交通省より公表されました「内航カーボンニュートラル推進に向けた検討会」中間とりまとめにて想定されました内航海運の低・脱炭素化に向けたロードマップです。

段階的にカーボンニュートラルに向けて取り組む必要があり、当面、内航海運分野として注力すべきは省エネ・省CO2をさらに高度化した内航船舶(連携型省エネ船)の開発・普及を進めることです。併せて、LNG燃料船、水素燃料電池・バッテリー推進、バイオ燃料の活用等の先進的取り組みを促進しなければなりません。

内航カーボンニュートラル
推進に向けた
ロードマップ案

内航カーボンニュートラル推進に向けたロードマップ案イメージ図
(出典)国土交通省「内航カーボンニュートラル推進に向けた検討会」中間とりまとめ

当社は2008年に省エネ・高効率化を実現した電子制御機関を開発・製品化し、2018年に低速4サイクルエンジンとしては世界初のガス専焼エンジン「G30」を開発、完成させました。脱炭素燃料としては水素、アンモニア、E-FUEL(E-メタノール、E-メタン等)、バイオ燃料が候補に挙がっていますが、今後は候補燃料の動向を注視し、どの燃料が主流になっても対応できる燃焼技術の確立が必要と考えます。ディーゼルエンジンの拡散燃焼技術は既に確立しており、ガスエンジンで採用している予混合燃焼技術の完成度を上げることにより、各燃料に対応できるエンジン開発を進めてまいります。

2050年へ向けては、まず短期(~2025)ではディーゼルエンジンの高効率化を進め、中期(~2030)ではガスエンジンのラインアップの充実を図り、長期(~2050)では2050年のカーボンニュートラル社会を見据えて、まず2030年をベンチマークとした段階的な開発を行い、市場投入を図ってまいります。

阪神内燃機工業の取り組み

カーボンニュートラルへ向けては、まず短期では従来のディーゼルエンジンの高効率化、バイオ燃料、メタノールエンジンと製品化を進め、中期ではガスエンジン、メタノールエンジンのラインアップの充実を図り、長期では2050年のカーボンニュートラル社会を見据えた製品開発を行ってまいります。

阪神内燃機工業の取り組みイメージ図
ディーゼルエンジン
100年つくり続けてきたディーゼルエンジンをベースに、さらなる高効率化を目指します。
以下のエンジンつくりのベースになる技術なので全体の高効率化も可能です。
電子制御エンジン
燃料噴射を電子制御化、低負荷から高負荷まで全域で最適な燃焼を実現できます。
2015年に初号機を出荷して以降順調に航行しており、更なるラインナップの充実を目指します。
ガスエンジン
低速4サイクル部門で世界初となるガス専焼エンジンを開発しています。
2018年に初号機を開発以降、更なる高効率化、ラインナップの充実を目指します。
ディーゼルエンジン
従来型のディーゼルエンジンを用いてバイオ燃料を評価しましたが、
試験運転では従来燃料の重油と変わりなく運転可能という事を実証しました。
メタノールエンジン
1989年に実機試験済の経験を活かして、メタノールエンジンを製品化します。
2024年の就航を目指し、関係企業とコンソーシアムで取り組んでおります。
以降ラインアップの充実を目指します。
アンモニアエンジン
カーボンフリー燃料として有力な燃料ですが、着火しにくのでいかにしてエンジンで
燃やすかがポイントと考え、検討を重ねています。
水素エンジン
カーボンフリー燃料として有力ですが、取り扱いが困難なために舶用主機関の燃料としての
適正を見極める事を主に検討を重ねています。

NOx、SOx削減への取り組み

NOxについて

一般的にはNOx放出量を低減すると燃料消費は増加しますが、圧縮比や吸排気弁開閉時期を最適にセッティングすることや高効率過給機の採用によりNOx規制値を満足しつつ燃料消費を改善することができます。当社はこれらの試験を行い、NOx規制に適合した上で機関を高性能化する取り組みを行っています。日本国内では引き続きNOx2次規制が適用されますが、北米やヨーロッパ等の指定海域ではNOx3次規制が適用されます。NOx3次規制に対応するためにはSCR等の排ガス後処理装置が必要となります。当社ではLA32形機関でSCR装置の開発を行い、SCRの技術を確立しました。また、エンジン単体でNOx3次規制対応可能であるガスエンジンG30を開発しました。

SOxについて

燃料中の硫黄分が燃焼してSOxとなって大気中に放出されます。国際的な規制強化により、2020年1月以降は全海域で燃料中の硫黄分は0.5%以下に規制されています。硫黄分を含まない天然ガスを燃料とし、SOxを排出しないガスエンジンG30を開発しました。

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